第14章 勝利の苦味
「なっ、黒影……!」
動揺を含んだ声とともに、黒影が正面に立ちはだかる。
だが、その位置は結にとって都合がよかった。
掲げた右手のひらに、青白い光が宿り始める。
じんわりと熱が広がり、指先が微かに震えた。
『千歳の右手が光って――いや、炎か!? 轟のと似てるが、色が違ぇ! 青いぞ!?』
マイクの興奮した声が競技場に響く。
黒影の動きを止めたのは、結の右手から放たれた青い炎だった。
冷たさを帯びた光でありながら、確かな熱がそこにはあった。
動きが鈍った瞬間、結は迷いなく常闇の腕に触れる。
黒影の弱点は光。
騎馬戦や戦闘訓練で共有されていた情報は、ここで正確に生かされた。
「時間勝負、する?」
「……いいや、まいった」
「常闇くん降参! よって、千歳さん準決勝進出!」
青い炎を宿した右手を一瞥し、常闇は息を吐いた。
歓声に包まれる中、結は左手を差し出し、彼を立ち上がらせる。
この手で掴み取った準決勝への切符は喜びをもたらしたが、次の対戦相手の姿が脳裏をよぎるたび、胸の奥には重たい不安が広がっていった。