第13章 並び立つには
その後、二戦目は轟と瀬呂の戦いだったが、始まってからものの数秒で勝負が決まってしまった。
不意をつかれ、瀬呂の放ったテープに拘束された轟は、苛立ちのままに個性を使った。
それは冷たい音を立てて瀬呂の体を包み込むと、会場の高さを越える氷塊となった。
あまりの威力に瀬呂はもちろん、観客や、審判のミッドナイトさえも目を見開き、息を飲む。
審判の半身もまた、その影響で霜焼けになっていた。
「やりすぎだろ……」
完全に身動きを取れなくなってしまった瀬呂は、息をのむような声で降参を告げた。
観客席から同調ともいえない「どんまいコール」が届く中、結たちの目に映ったのは、左手の炎で瀬呂を氷から解放する轟の横顔だった。
先程までの冷徹さとは裏腹に、影を潜めるその表情には、苛立ちと悔しさが滲んでいるように見えた。
三戦目、四戦目と試合が進んでいき、勝利を手にしたのは飯田とB組の塩崎だった。
上鳴の放電を個性のツルで難なく無効化し、勝利を収めた塩崎。
飯田は、サポート科の発目明が持ち込んだサポートアイテムに翻弄されながらも、十分間もの鬼ごっこを耐え抜き、二回戦進出が決まった。