第13章 並び立つには
芦戸と葉隠の誘いを受けて、結はレクリエーションに参加したクラスメイトたちを応援していた。
先程と打って変わって、ゆっくりとポンポンを振る表情は柔らかいものだった。
一段落して食堂で軽く昼食をとり終え、結は控え室までの道のりを一人で歩いていた。
右手を開いて握る動作を止めることはなく、最終種目に向けて準備を続けていた。
「お、いたいた! Hey! 結ちゃん!」
突然、静かで狭い廊下に声が響き渡った。
振り向いた先には、携帯端末を手に持ち、サングラス越しでもよくわかるほどの笑顔を浮かべるマイクの姿があった。
「ひざしさん? どうしたの?」
「ちーっと用があってさ。いやー、遠くから見てても可愛かったけど、近くで見るともっとカワイー! 似合ってんなァ!」
「あ、ありがとう……?」
「ほら、スマイル!」
「え」
携帯端末からカシャリと二回、音が続いた。
目を丸くしたままの結を置いて、マイクは「相澤の土産に一枚! んで、記念に俺と一枚!」と、綺麗に収まっている二枚の写真を見せた。
「と、撮るなら撮るよって言ってくれないと!」
「まぁまぁ、どっちも可愛く撮れてっから!」
「そういう問題じゃなくて……というか、用事って写真のこと……?」
「そ! あと、もう一個あってよ」