第13章 並び立つには
「それじゃあ、組み合わせ決めのくじ引きしちゃうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります!」
朝礼台に立つミッドナイトが、くじの入った箱を持ち上げる。
一位に輝いたチームから順にくじを引く予定だったが、 一人の少年が手を挙げたことで流れが変わった。
多くのプロヒーローに見てもらえる貴重な場であるにも関わらず、尾白は辞退を選択したのだ。
彼の表情には決意と迷いが混在していた。
心操と同じチームを組んでいた尾白だが、騎馬戦の記憶が終盤まで薄れ、未だにぼんやりとしていた。
力を出し合い、争ってきた中、同じ土俵に並ぶことに対してプライドが許せない様子だった。
そして、実力以前に「何もしていない者」として、B組の庄田二連撃も尾白と同じく棄権を選んだ。
周囲の生徒たちは「気にしすぎだ」と声をかけるが、その言葉は二人の心に響かなかった。
全ては主審の采配にかかっている。
ミッドナイトは生徒たちを見渡すと、どこからか鞭を取り出し、しなやかな動きを見せた。
「そういう青臭い話はさァ……好み!! 庄田、尾白の棄権を認めます!」
「好みで決めた……!」
嬉しげな様子で空間を叩くように鞭を振ると、彼女は声を張り上げた。
二人分の枠が空いたことで、B組の拳藤チームが繰り上がりで参加する。
だが、拳藤は最後まで上位をキープしていたB組の鉄哲チームに席を譲り、鉄哲徹鐵と塩崎茨の二人が名を連ねることになった。
こうして計十六名が揃うと、会場の大画面にトーナメント表が表示された。
結の初戦の相手は芦戸で、次の戦いは常闇か八百万のどちらかと対戦する。
そして、誰が勝ち上がるかはまだ分からないが、鉄哲、麗日、切島、爆豪のうち一人と決勝に向けて争うことが決まっていた。
「トーナメントはひとまず置いといて、イッツ束の間。楽しく遊ぶぞ、レクリエーション!」
進出者の十六名は自由参加で、それぞれの判断に任せることになった。
息抜きをする者、あるいは温存したい者など、それぞれの思惑があるからだ。
会場の雰囲気は、戦いの緊張感から一転して和やかさに包まれる。
生徒たちの笑い声が響き渡り、楽しそうな声が交じり合う中で、それぞれがリラックスする姿が見られた。