• テキストサイズ

お友達から始めよう【ヒロアカ】

第13章 並び立つには



「時間も迫っておりますし、まずは服を作りませんと。ご要望があれば、なんなりと仰ってくださいね」
「さっすがヤオモモ! 本格的!」


 八百万が服をめくると、腹の辺りが光り始め、橙色の布が肌から現れていく。
 次々と衣装が創り出されていく様子は、まるで魔法のようだった。

 彼女の個性は、あらゆる物体を創り出すことができる創造。
 対象の素材や構造を理解することに加え、精密なイメージも必要だが、生物を除けばほぼ無制限に物体を創り出せる個性だ。

 その力に目を見張る中、次の服に取り掛かる直前で結はしゃがみ込み、八百万と目線を合わせる。
 そして、機会を逃してはならないと決意を固めた。


「八百万さん、その……私のは、お腹が隠れる服にしてほしくて」
「わかりましたわ。他にもご要望はありませんか?」
「ううん、大丈夫。ごめんね、無理言って」
「このくらい簡単ですわ。暖かくても、外気に触れると冷えてしまいますものね。お身体は大事にしませんと」


 八百万は優しい笑みを浮かべながら、手際よく衣装を創り出した。
 そのまま結に手渡すと、背丈に合わせたものを全員に渡していく。

 雑談を交えながら、明るい衣装を身に纏う。
 制服や体操服の堅苦しい雰囲気と一転し、彼女たちは可愛らしさに満ち溢れていた。


「みんな、お似合いよ。可愛いわ」
「梅雨ちゃんも可愛いよー! あとで写真撮ろ!」


 黄色いポンポンを手に取った芦戸は葉隠とともにポーズを決め、二人のテンションがますます高まっていく。
 麗日や蛙水、八百万も少し照れくさそうにしながら、内心では彼女たちと同じ感情を抱いているのだろう。

 結と耳郎は楽しそうな光景を目の前にしながらも、自然と距離を置いていた。
 視線を交わし、互いに苦笑いを浮かべる。
 耳郎はどうにも好みではない服装に、気恥ずかしさが込み上げているようだった。


 穏やかな雰囲気も束の間、集合の放送が室内に響き渡った。
 慌てて走り出した彼女たちの短いスカートが風に揺れ、ポンポンが音を鳴らす。

 何名かは疑念を抱えたまま、本当に体育祭の一環なのかという不安が胸の片隅にわずかに残っていた。
 この後に待ち受けている展開など、誰もが予想していなかった。


/ 134ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp