第13章 並び立つには
「おいおい、千歳……? なんで腹閉まってんだよ、出せよ……!?」
「チアガールといえば腹チラ! 腹チラといえばチアガールじゃん!?」
「偏見ヤメロ」
下品な声が響き、すぐさま耳郎が睨みつける。
彼らの視線の先には、腹部を覆う衣装を着た結がいた。
虚ろな目で明後日の方向を見つめながら、機械的にポンポンを振っている。
二人のねっとりとした視線など眼中になく、ただその場に立ち尽くしていた。
「おかしいと思った……先生が言い忘れるわけないし……」
「千歳、あとでアイツらボコそう。ウチも手伝う」
「お、落ち着いて耳郎さん……峰田くんはともかく、上鳴くんが本戦に参加できなくなっちゃう……」
耳郎のプラグのような耳同士が触れ合い、ばちばちと音を立てる。
その音に宿る怒りを感じ取り、結は震える耳郎の拳をなだめるために必死に声を掛けた。
「張り詰めててもシンドイしさ! いいんじゃない!? やったろ!!」
「透ちゃん好きね」
葉隠はポンポンを勢いよく振り回し、どこか吹っ切れたように楽しさへ身を預けていた。
無邪気な動きが、張りつめていた空気に明るさをもたらす。
生徒たちが全員集まる頃には、会場は再び緊張の色を帯びていたが、マイクの声が響き渡ると、最終種目の説明が始まった。
レクリエーションの後には、進出した四チーム――総勢十六名によるトーナメント形式の戦いが控えている。
一対一の真剣勝負で、勝敗に関わらず、これが最後の舞台だ。
昨年も同じ形式で行われ、種目の違いはあれど決着のつけ方は変わらない。
生徒たちはそれぞれ胸の内で作戦を巡らせていた。