第12章 譲れない戦い
『――タイムアップ! 早速、上位四チーム見てみよか!』
競技場全体の動きが一斉に止まり、選手たちは息を詰めて結果を待った。
騎馬戦の最終結果が発表される瞬間、緊張が場を支配する。
一位は轟のチーム、まさに一発逆転で制した。
二位は爆豪のチーム、そして三位には、ひっそりと目立たずにポイントを集めていたC組の心操人使のチームが名を連ねていた。
一位を逃した緑谷の心に落胆が広がる。
最後まで粘ったものの、肝心の千万ポイントを取り戻すことができなかった。
彼の肩はがっくりと落ち、目は地面に伏せられていた。
悔しさが胸を締め付け、達成感とは程遠い思いが残る。
「デクくん!」
「あの……ごめん、本当に……」
「謝るのはまだ早いよ! 見て見て!」
集めたポイントを確認し終えた結と常闇が緑谷の前に現れる。
常闇の手には、ハチマキが三本握られていた。
「お前の初撃から、轟は明らかな動揺を見せた。千万を取るのが本位だったろうが……そう上手くはいかないな」
「そ、そのハチマキって……!」
数字は決して大きくはないが、それらの合計は三位に次ぐほどの桁を示している。
最後にわずかな希望を掴んだ二人は、まだ勝負を諦めていなかったのだ。
緑谷は常闇の持つハチマキに目を向ける。
それが自分たちを救うものだとは、まだ信じられなかった。
「警戒が薄くなっていた頭の方から奪っておいた。不可能だった場合も想定して、千歳に手を貸してもらってな」
「二本も集めてくれた常闇くんのおかげだよ。それから、気を引いてくれた緑谷くんと麗日さん、二人も」
四位、緑谷チーム。
その言葉に、緑谷の胸に熱いものが込み上げた。
一度俯き、顔を上げると、再び水溜まりを作り出す勢いで涙が溢れた。
逆境から這い上がり、振り出しからの見事な逆転劇に、会場中の興奮が最高潮に達した。
緑谷の心からの叫びが、熱気を引き立てる。
『以上、四組が最終種目へ進出だああ!!』
マイクの声が響き渡り、観客の声がさらに大きくなった。
勝ち上がった者たちは勝利の余韻に浸りつつ、次なる戦いに備える決意を新たにしていた。