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お友達から始めよう【ヒロアカ】

第12章 譲れない戦い



「突っ込んで!」
「他のポイントを狙いに行く方が堅実では」
「ダメだ! ポイントの散り方を把握できてない! ここしかない!」


 焦りが緑谷の胸を締めつけ、常闇の表情には不安が影を落としている。
 瞬く間に形を変える戦況の中、四人の勝敗はわずかな判断に左右されていた。


「よっしゃ、取り返そうデクくん! 絶対!」
「だが、上鳴がいる以上――」
「大丈夫。行こう、常闇くん」


 緑谷の言葉に背を押され、結も麗日も笑みを浮かべて頷く。
 常闇は迷いを振り払うように息をひとつ吐き、騎馬は速度を上げた。
 結は右手に力を込め、突破の一手を探っていた。


「ウエッ!? 力入んねえ!?」
「ごめんね、勝つためには、これしかなかったから……!」


 突然、上鳴は電源を落とされた機械のように膝をつく。
 結の右手で弾かれた小石が彼の腕に触れたのだ。
 飯田が上鳴を抱える隙をついて、緑谷たちは一気に轟へ距離を詰め、首元のハチマキへと手を伸ばした。


「とった! とったああ!!」
「まって、その数字――」
「万が一に備えて、ハチマキの位置は変えてますわ! 甘いですわ、緑谷さん!」


 緑谷の掌にあったのは、千万ではなく七十ポイント。
 決勝へ進むには残り五百ポイントが必要で、現状は依然として圏外だった。
 残り十秒のカウントが始まる。
 双方の焦燥が空気を震わせていた。


「緑谷を援護する! 周囲のポイントを奪取できるか、千歳!」
「やってみる……!」


 結は黒影の姿を強く思い描き、右手を氷壁へ向けた。
 完全には再現できないが、細く揺らめく影が手から伸び、近くの騎手たちへ一気に走る。
 注意の薄れた頭上を影がすり抜け、次々とハチマキを奪っていった。
 疲労と個性の使い過ぎで、右手は思うように動かないことなど、頭に残っていなかった。


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