第12章 譲れない戦い
「止めても、抹消の個性でも外せない……峰田くんの個性を使うしか……」
結は焦りながら、麗日の足と自身の腕に張り付いたボールを外そうと個性を発動し始めた。
瞬時に峰田の個性を習得し、ボールの粘着を無効化しようと試みる。
「取れたっ、麗日さん!」
「ありがとう! 行くよー!」
多くの時間はかからず、結は麗日にも付着していたボールを取り除くことに成功した。
麗日はほっと息をつき、すぐに自らの個性を発動させると、四人は再び宙に舞い上がった。
周囲の混乱から逃れたが、次の瞬間、四人に影が降り注いだ。
「調子乗ってんじゃねえぞ、クソが!」
爆豪の叫び声が響くと、切島、瀬呂、そして芦戸と組んだ爆豪チームが真正面から四人に襲いかかってきた。
激しい爆破音が鳴る中、常闇の黒影が即座に反応し、四人を守るために身を挺して爆発の衝撃を防ぐ。
しかし、爆豪の猛攻は止まらない。
瀬呂のテープが一瞬の隙をつき、爆豪を回収するように引っ張った。
爆豪は体が騎馬から離れてしまったものの、まだ地面に足をつけていないため、失格にはならなかった。
「一筋縄じゃいかないよな……っ」
残り時間は半分を切り、緑谷の声には焦りが滲む。
観客席からは熱狂的な歓声が響き、マイクが現在のポイントと順位を読み上げるが、驚きのあまり言葉を詰まらせる。
爆豪のチームはハチマキを全て奪われていた。
障害物競走ではA組が上位を占めていたものの、騎馬戦ではB組が流れを覆したのだ。
計画的に動いたB組はクラス全体で連携を取り、実力者揃いのA組を着実に攻略していた。
一方で、緑谷は千万ポイントを守り切るため、逃げの体勢を崩さないように提案する。
彼は冷静に戦況を見極めていたが、目の前には強敵が立ちはだかっていた。
「そろそろ獲るぞ」