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お友達から始めよう【ヒロアカ】

第12章 譲れない戦い



『まだ二分も経ってねぇが早くも混戦! 各所でハチマキ奪い合いだ!』
「奪い合い? 違うぜ、これは……一方的な略奪よお!!」
「障子くん!? アレッ、一人!?」


 驚きの声を上げた緑谷たちの視線の先には、障子目蔵が一人で駆け出していた。
 複製腕の個性を駆使し、肩から生やした触手で自らを覆い隠すようにしている。

 しかし、彼の様子にはどこか違和感があった。
 障子が一人で騎馬をしているはずはなく、仲間たちが見当たらないことが気にかかった。
 聞こえた声も、彼のものではない。


「一旦距離を取れ! とにかく複数相手に立ち止まってはいかん!」
「わっ、何!? 動けんし、取れへん!」


 麗日の靴の裏には、紫色のボールが一つくっついていた。
 彼女の混乱が伝染したかのように結も左肘に目をやると、同じボールがぴたりと張り付いているのを見つけた。


「これ……峰田くんの個性?」


 ボールは強力な粘着力を持ち、一度掴んだものを絶対に離さない特性があった。
 二人は障害物競走でも目にした峰田の個性「もぎもぎ」に捕まってしまったのだ。


「どこから――」
「ここからだよ、千歳……」


 その答えは、すぐにやってきた。
 障子の触手の隙間から、峰田が顔を覗かせる。

 そして、バランスを崩しかけた緑谷の背後から蛙水が舌を伸ばし、ハチマキを狙った。
 緑谷はすんでのところで反応し、素早く攻撃をかわしていた。


 峰田と障子の体格差を生かした戦術は、まるで戦車のような迫力で攻撃を仕掛けてきた。
 正面突破の戦略に緑谷は動揺を隠せず「それアリィ!?」と思わず声を上げる。

 審判のミッドナイトは意気揚々と親指を立てると、笑顔で「問題なし!」と示していた。


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