第12章 譲れない戦い
制限時間は十五分。
会場の緊張感がじわじわと高まる中、騎手たちは次々と騎馬に乗り込んでいく。
頭に装着されたハチマキを指で軽く確認し、互いの存在を意識する。
それぞれのハチマキには、マジックテープ式で順位ごとのポイントが表示されている。
その見た目は取りやすそうに見えるが、手軽さが故に敵を引き寄せる原因でもあった。
ポイントを多く集めれば集めるほど管理が難しくなり、狙われるリスクも高まっていくのだ。
騎馬戦のルール自体は通常のものと大差はなく、雄英高校の特別ルールにより、すべてのハチマキを失ったり、騎馬が崩れても即失格とはならない。
個性の使用も許可されているものの、悪質な攻撃で相手を崩す行為は一発退場となる。
まさにバトルロイヤルの様相を呈した戦いに、全員の心が昂る。彼らの目には確かな覚悟と、心には勝利への決意が宿っていた。
『準備はいいかなんて聞かねえぞ!! いくぜ、残虐バトルロイヤルカウントダウン!!』
スピーカー越しに、マイクの声が会場中に響き渡る。
数字を読み上げる声は徐々にカウントダウンを始めた。
フィールド上の十二組の騎馬、四十二人の緊張はピークに達していた。
「麗日さん、千歳さん、常闇くん、よろしく!」
緑谷の騎馬には、結、麗日、そして常闇が加わり、四人の布陣が完成した。
攻防のバランスが取れた理想的なチーム構成だ。
麗日の個性で空中戦を巧みにこなせ、常闇の黒影による全方位の防御も期待できる。
さらに、結の個性で相手の動きを封じれば、攻撃にも柔軟に対応できる。
戦術的な協力関係が生まれ、四人の心には不安よりも強い信頼が広がっていた。
カウントがゼロになると同時に、開始の合図が響いた。
瞬間、場の雰囲気が一変し、空気を切り裂くように騎馬たちは一斉に動き出す。