第12章 譲れない戦い
制限時間は十五分。
緊張がじわりと会場を満たす中、騎手たちは次々と騎馬へ乗り込み、額に巻いたハチマキを指先で確かめた。
順位に応じて貼り付けられたポイント札は、マジックテープ式のため簡易で奪いやすい。
だが、集めれば集めるほど狙われやすくなる。
騎馬戦の基本ルールは一般的なものに近いが、雄英独自の特別ルールもある。
すべてのハチマキを失っても即失格とはならず、個性の使用も許可されている。
悪質な攻撃で騎馬を崩した場合は一発退場。
点を奪い合う混戦に、誰もが胸の内で火花を散らしていた。
『準備はいいかなんて聞かねえぞ!! いくぜ、残虐バトルロイヤル、カウントダウン!!』
「麗日さん、千歳さん、常闇くん! よろしく!」
緑谷の声に、結、麗日、常闇が頷く。
四人の布陣は、攻防のバランスが取れた理想形だった。
相手の動きを断つ結、空へ退避できる麗日、全方位を守る常闇と黒影。
そして、三人を指揮する緑谷が加わることで、轟の騎馬に挑むためのわずかな光が生まれていた。
『スタート!!』
カウントが零になり、空気の色が変わった。
場内の騎馬が一斉に走り出し、地面を蹴る音が波のように緑谷たちに押し寄せた。
「いきなりの襲来とはな……追われし者の宿命、選択しろ緑谷!」
「もちろん! 逃げの一手!」
B組の騎馬が戦場と化したフィールドを駆ける。
緑谷が「まずは安全な場所へ!」と叫ぶと同時に、結が弾いた小石が二組の敵騎馬の先頭へ吸い込まれていく。
その石に触れた瞬間、身体は前のめりのまま、動きがぴたりと止まった。