• テキストサイズ

お友達から始めよう【ヒロアカ】

第12章 譲れない戦い



「やっぱり、ごめん。一緒に勝ちたい人がいるから」
「……わかった。誰と組むかは知らねえが、周りには気をつけろよ。全員分、獲りに行く」


 胸の奥で揺れていた葛藤が、形を取って結の口からこぼれる。
 迷いを断った声に、轟はほんのわずか目を細めた。
 態度は変わらぬまま、戦場へ歩み出す兵士のような背中には、冷たさではなく、覚悟の気配が残っていた。


「……宣戦布告する相手、間違ってるよ」


 そんな背中を見送りながら、結は小さく呟いた。
 その声は喧騒に紛れ、誰の耳にも触れなかった。

 会場の中心から少し外れた場所では、地面の一角だけが不自然に濡れていた。
 水たまりの中心には緑谷が立っていて、隣には麗日が笑顔を浮かべていた。


「緑谷くん、麗日さん。一緒に組まな……わっ」
「千歳さんまで!? い、良いの!?」


 緑谷は壊れた蛇口のように涙を溢れさせた。
 どうやら水浸しの正体は彼の涙らしい。
 声は震え、胸の奥から込み上げる感情が音になって漏れ出す。
 結は降ってくる涙を腕で遮りながら、二人へ歩み寄った。


「轟くんや切島くんと話していたから、もう組んだのかと思って……!」
「どっちも断っちゃった」
「こ、断ったん!? でも、やったねデクくん! 千歳さんも来てくれたし、勝てるよ、これ!」


 結と麗日は腕を伸ばして握手を交わす。
 騎馬戦は最低でも二人、最大四人が必要だ。
 結が加わったことで三人にはなったものの、戦力はまだ心許ない。


「実は、飯田くんも誘ったんだけど、断られちゃって……」
「飯田くんが……? あ、轟くんと一緒にいるんだ」


 結の視線の先では、飯田が真剣な眼差しで轟、八百万、上鳴と話し込んでいた。
 A組でも上位に数えられる実力者が揃っている。
 状況判断や個性の扱いに関して、結より轟が一枚上手であることは分かりきっていた。
 圧倒的な存在感と精度の高い個性。
 彼に人が集まる理由は明白だった。


/ 170ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp