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お友達から始めよう【ヒロアカ】

第12章 譲れない戦い



「協力……」


 会場の片隅を見つめる結の目には、静かに佇む緑谷が映っている。
 緑谷は一位という驚異的な結果を残しながらも、まだ個性を上手く扱えていない理由で周囲から孤立していた。
 誰からも誘われることなく、彼自身が声をかけても断られる光景が繰り返されていた。

 一位に与えられたポイントは破格の千万。
 二位の轟のポイントとは桁違いの差だ。
 このポイントを奪えば、一発逆転のチャンスは容易に訪れる。
 緑谷とチームを組むということは、大勢の敵に狙われるリスクを負うことを意味していた。


「やっぱり、ごめん。一緒に勝ちたい人がいるの」


 葛藤が現実と理想の間で揺れ動く。
 結の心の中で一つの決断が芽生え、迷いのない声で告げた言葉に轟は少しだけ目を細めた。


「誰と組むかは知らねえが、周りには気をつけろよ。全員分、奪いに行く」


 彼の中でも何かが動いたように見えたが、変わらない態度で一言残すと、轟は背を向けてこの場を離れていく。
 まるで、戦場に向かう兵士のように覚悟と冷徹さが感じられた。


「……宣戦布告する相手、間違ってるよ」


 そんな背中を見送りながら結は小さく呟く。
 その言葉は周囲の喧騒に埋もれ、誰の耳にも届くことはなかった。


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