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お友達から始めよう【ヒロアカ】

第11章 備えあれば




『大胆な妨害だァー!! 三、四体は吹っ飛んだか!? すげェー!! イレイザー見たか今の!?』
『見た。実況しろよ』


 結は満足げな声を背に、その場を離れようとした。
 だが、突然背後で物音がしたかと思うと、何者かが背中にしがみついてきた。
 不意を突かれたことでバランスを崩し、倒れかける。


「千歳ー! 頼む! オイラも連れてってくれー!」
「み、峰田くん?」


 振り向いた結の目に映ったのは、仮想敵に吹き飛ばされていた峰田実だった。
 涙目で結を見上げながら、両手両足を使って必死に背中にしがみついている。
 その姿は、まるで絶望に取り憑かれたようだった。


「オイラの個性じゃ無理なんだ! 絶対に邪魔しないから!」
「わ、わかったから、一旦、離れてほしいんだけど……」
「離れたらオイラを置いていくだろ!? 見捨てないでくれよ! 頼むよ!」


 峰田の言葉には切実な感情が込められていた。
 結は考えた後、彼の背中を軽く押して距離を取ろうとするが、しがみつく手を離すことはなかった。


「……本音は?」
「ほ、本音? へへ……そりゃあ、女子に抱きついてるだけでゴールできるなら、一石二鳥――」


 結が問いかけると峰田はあからさまに肩を揺らし、恥ずかしそうに笑った。
 その瞬間、結は微笑みながら右手で峰田の足に触れた。
 彼の力が急に抜け、顔面から地面にぶつかる。

 峰田の泣き喚く声が響く中、結は周囲の視線を背に受けながら遅れた分を取り戻すべく、先頭集団を追い始めた。


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