第11章 備えあれば
「選手宣誓!」
全てのクラスが揃い、場内が静まり返ると、ミッドナイトが朝礼台の上に立って声を張り上げた。
その声は観客席に響き渡り、会場の静寂がこれから始まる体育祭の大切さを物語っていた。
入試通過一位の爆豪が選手宣誓の代表者に指名されると、大勢の視線が彼に集中した。
爆豪はポケットに手を突っ込んだまま、無造作にクラスの群れを通り抜けていく。
朝礼台に立つと、爆豪は気だるげに「せんせー」と一言声を上げた。
豪華な装飾を排除し、ストレートな言葉だけを残すと、彼は短く宣言を放った。
「俺が一位になる」
「絶対やると思った!!」
その一言は周囲の期待を一瞬で引き裂き、A組の生徒たちは思わず声を上げた。
爆豪の言葉には確固たる自信と覚悟が込められており、誰もがその意志の強さを認めざるを得なかった。
「調子に乗んなよA組ィ!」
「何故品位を貶めるようなことをするんだ!」
「せめて跳ねの良い踏み台になってくれ」
爆豪の宣言に対する反応は様々だった。
他のクラスからは非難の声が上がり、飯田も不満を口にしていた。
それでも、爆豪は意気消沈する様子を全く見せなかった。
むしろ楽しんでいるかのように、親指を下に向けて首を切るような動作のあと、挑発に対する余裕を見せた。
「それじゃあ早速、第一種目行きましょう! 毎年ここで多くの者がティアドリンク! 運命の第一種目、今年は――コレ!!」
ミッドナイトが力強く指し示した電光掲示板には「障害物競走」の文字が大きく映し出された。
スタジアム全体に伝わると、観客たちの期待感が高まっていく。
この競技は、スタジアムの外周約四キロメートルに設けられた複数の障害をクリアしながらゴールを目指すレースだ。
十一クラスが総当たりで挑み、予選を通過できるのは上位四十二名のみ。
コースさえ守れば手段は問わないというルールが掲げられている。