第22章 蘇る過去
〜回想終了〜(side)
「それで私はそのあと一切男子と関与しないで、笑わずに過ごしてきたってわけ。それ以降私は涙も出なくなった。まぁ、当然だよね。こんな無表情なマネージャーいらないもんね、見てて苛つくだけ…。」
高尾「…どうして。」
「…?」
高尾「どうしてその事を俺に言ってくれなかったんだっ!」
「…お兄ちゃん話聞いてなかったの?」イラッ
高尾「聞いてたさ、けど別に助けを求めたっていいだろ!!相手は女だし俺はそんな奴らに言われても…。」
「私だって…出来ればそうしたかった!お兄ちゃんに助けを求めたかった!慰めて欲しかった!けど…ッ!」
あれ…おかしいな。
なんで私こんなこと…どうして…どうして?
そのときの頬を温かいものが零れ落ちた。
それは溢れ出すかのように流れて
「だってっ…お兄ちゃんやお父さんお母さんはっ…大切だったんだもん…!大切で!大事でっ…大好きなの…!大好きだからっ…傷付けたくなくてっ…心配かけたくなかったのぉ…!ううっ…!」
ギュッ
「…え?」
お兄ちゃんは優しく抱きしめて
高尾「ごめんな…俺こそが虐められてること知ってて何もしてやれなくて…!それなのには俺のことを守ってくれて…サンキュー。」
すると私の瞳から流れる温かいものは止まることを知らずに
「うわああああああああああああああああん!怖かったよおおおおおお!辛かったよおおおおお!」
お兄ちゃんは抱きしめる力を強めて
高尾「あぁ…ごめんな…っ。今度は俺の番だから、俺がを守るから。絶対な!」
「うん…っ!」
高尾「さーて、そろそろ練習戻らねぇとな!」
「えっ…私はいいよっ!行かなくて…!」
高尾「いーからいーから!行くぞ!」
「うん…。」
私は不安を胸に体育館へ向かった。