第16章 転生者
「それより、フェリシアはどうしたの?何か、元気ない様に見えるのだけど。」
「あのね・・・この国に来た時、私を見て凄く驚いた令嬢がいたの。でも、私はその理由が分からない。だって、名前を聞いても知らないのだもの。」
「何って言うの?」
「エリシア=ダットン。子爵家の養女らしいの。」
「何だ、この国にいたんだ。」
簡単に言ってのけたキャサリン。
「知り合い?」
「私の方の登場キャラよ。フェリシアを見て驚いたってことは、両方のゲームの知識があるみたいね。」
「えっ、ちょっと待って。どうしてそう言い切れるの?」
「私を見ても驚かれたからよ。さっき、すれ違ったの。」
「どんな立ち位置?」
「私の方のヒロインと懇意にしてたわ。」
「ヒロインと?でも、今は行方が分からないって。」
「この国に来てるって、セーラン様が教えてくれたわ。ある修道院で働いているみたい。今は二人の縁はないみたいだけど。フェリシアの方のヒロインにあんな事されたからね。」
えっと、本来ならキャサリンの方のヒロインの友人だけど、私の方のヒロインが酷い事をしたから国から出てこの国に来てると。
「多分、フェリシアも私も悪役令嬢キャラだと思っているだろうから、関わりたいなんて思わないわよね。」
「ねぇ、ヒロインは?」
「元気にしていたわ。私の方のヒロインは、転生者じゃなくて本当に優しくてヒロインらしいヒロインだった。穏やかに過ごしているみたいだから安心したわ。ついでに、修道院に公爵家から寄付しておいたわ。」
「直接、会ったの?」
「えぇ、会ったわ。本当に優しい性格をしてた。あれが本当のヒロインよね。それで、クラウド様今までの話しを聞いてどう思いましたか?」
キャサリンが、皇子に視線を向けた。
「少し混乱している。転生者と言われても俄に信じにくい。だが、そんな事は些細な事だ。私は今のキャサリンを好きなのだから。」
「まぁ、及第点ってところだな。」
アルがそう言った。
「及第点?」
「アルベルト様は、フェリシアの言葉をそのまま信じましたから。」
「えっ、アルベルトは今の話しを聞いてそのまま信じたのか?」
「私とフェリシアの付き合いは長い。この世界での常識とは違ったりこの世界には存在しないものも知っている。そう言った積み重ねがあって、納得したってところだ。」