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異世界転生したらゲームの悪役令嬢でした

第15章 正攻法


「おはよう。こんな場所で何をしている?朝は込み合うのだから、さっさと教室に向かった方がいい。」
「あぁ、そうだな。」

王子の発言だから、誰もが引き下がると思った。でも・・・あの令嬢だけは違っていた。どうにかして、アルとの約束を取り付けようとしたのだ。

アルの腕を掴もうとして、容赦なく払い除けられた。明確な拒絶の意思。

「人前だからって、恥ずかしがらなくてもいいのですよ?それに、心変わりなんて当たり前ですし。アルベルト様も、こんなにこの私から思われて幸せですよね?」

取り巻きたちは、何ってことをしたのだと思った。ポジティブなんかじゃない。この令嬢の心を壊したのだ。

「フェリシア。」
「はい?」
「どうやら、私のフェリシアに対するこの想いが、まだ足りなかった様だ。」

アルのヤンデレがグレードアップしそうな発言だ。

「アルベルト、落ち着け。少なくとも、私たちもフェリシア嬢もアルベルトの気持ちは理解している。なぁ?ネスタリア。」
「えぇ。私もそう思いますわ。それに、お二人は相思相愛じゃないですか。ちゃんと、私たちもそう認識していますよ?それに・・・愛情は正攻法でお伝えした方が相手も喜ぶと思います。」
「正攻法?」
「えぇ、態度は今でも十分だと思いますから言葉とかですかね。フェリシア様を愛していらっしゃるのでしょう?」
「あぁ、私はフェリシアだけを愛している。・・・そうか、正攻法。フェリシアはどうだ?」

ひょっとして、ここが分岐点?

「アルは・・・不安に思ってる?私はアルの好意にあぐらをかいていたのかもしれないわね。でも、私だってアルが大好き。だから、私からもアルに伝えるわね?」
「それは嬉しいな。そうか・・・たまには正攻法もいいものだな。」
「話しが纏まったところで、教室に向かおう。それと、君たちには後で話しを聞きたいから、放課後残る様に。・・・逃げようだなんて考えるなよ?」

久しぶりの王族としての顔。取り巻きは何かを言おうとした令嬢を連れて、逃げて行った。どうやら、自分たちが仕出かした事を理解したのだろう。

ただ、アルの思う正攻法が少し違った解釈となったのは、らしいと言うしかなかったのだけど。
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