第14章 再会
しかし、令嬢はポジティブだったらしい。何故か、仲良くなれると錯覚したのか、翌日から教室に姿を現わす様になり関わって来る様になった。
確かに、最初は一生懸命だった。私と仲良くなろうとして。しかし、令嬢に顔を向ければ強制的にアルに顔を自分の方へ向けさせられる。そんなアルを、令嬢は窘めようとする。
ある意味、勇者よりポジティブで勇者より勇者だったかもしれない。彼是、もう一週間が過ぎようとしている。
アルは徹底して、令嬢の声に反応しない。嫌、反応しないというのは少し違う。窘められる度に、ニヤッとした口元になる。これは、自分が優位だと思っているからだろう。
イクスたちですら、慣れるまでは所作なさげにしていたと言うのに・・・。令嬢は意地になっているのでは?そして、そんな令嬢を見たファンたちから、少しは優しくしてやれなんて声が上がる。
その時は、令嬢は嬉しそうに見える。幾ら、そんな声が上がっても何も変わらないと言うのに。そして、令嬢はその声で気が大きくなったのか、その声に便乗して来た。
「そうですよ。皆もそう言っているじゃないですか。そろそろ私をっ!!!」
令嬢は、アルを怒らせた。
「貴様の視線が五月蝿い。」
そんなの私だって気付いていた。私に話し掛けて来ているけれど、その視線の端にいつもアルを認識しているのだから。
アルは決して、令嬢に声を掛けない。それでも、アルの反応をいつも気にしていた令嬢。
「そ、そんな傍に居るのですから、どうしても視線には・・・。」
「その視線が自然か意図的か、私が気付かないとでも?」
「アルベルト、その辺で。」
状況を収めに来たのはイクスだった。
「周りの者たちも、余計な事を言わない方がいい。」
「わ、私はただ・・・ローエン様と仲良くなりたいだけなのに。どうして、そうも目の敵にするのですか?」
「周りから助言されて、気でも大きくなったか?アルベルトは、フェリシア嬢以外誰にも興味を示さない。一週間傍にいて、それすら理解出来なかったのか?」
「それは・・・。」
「あまりフェリシア嬢に構い過ぎると、余計に嫌われると理解した方がいい。アルベルトは、フェリシア嬢を基本的に独り占めしたいのだからな。」
・・・恥ずかしい。わざわざ、そんな事をカミングアウトしないで欲しかった。事実だけど。