第14章 再会
「ローエン様?あの・・・私が友人では、御不満ですか?」
「そう思うのなら、引き下がった方がいいのでは?無理強いした友人関係と言うのは、そう遠くない未来に破綻するでしょうから。」
その場に割って入って来たのはアリオン。
「そんな・・・どうしてそんな酷い事を仰るのですか?私が何をしたって言うのです。」
「この様な往来で、私が発してもいいのか?」
人気者のこの令嬢には、常に人の目が付き纏う。そして、アリオンは何かを知っているらしい。
「何を仰っしゃりたいのか分かりません。」
「化けの皮を被るなら、完璧を期さなければ意味がないぞ。例えば、アルベルトを手に入れるのは簡単・・・とか?あれ程度を連れているのだから、心変わりは・・・とか?」
「何を・・・仰っているのか・・・。」
アルは既に敵認定していたし、私も今までの経験で罠に嵌ることは早々にない。それに存ぜぬと言うのなら、毅然とした態度を貫かないと意味がない。
損得勘定以外で、私と仲良くして貰えるのはネスタリア様とそのご学友くらいだろうなと思っていた。それが現実だから、こんなことがあってもまたかくらいにしか思わない。
「あの・・・私と仲良くしたいというのは本当ですか?」
令嬢は助け舟かと思ったのだろう。アリオンも怪訝な顔をしている。アルは・・・アルだけど。
パッと分かりやすく、笑顔になった。
「アルはいつもこんなですよ?ネスタリア様たちは随分と慣れて下さいましたけど、大丈夫ですか?」
「えっ?大丈夫と言うのは・・・どういう?」
「アルって、いつも私にベッタリですし、たまに場所を忘れてキスだってして来ます。そんな状況が毎日で、それを目の当たりにしながら気にしないでいられますか?アルを風景の一部くらいにしか思えないと、メンタルが持たないと言われた事がありますが。」
真顔でそう放つ私に、アリオンは教室内での普段の振る舞いを思い出していたのだろう。
「確かに・・・。」
なんか言葉が出ていた。
アルを狙っているのなら、余計に心がもたないと思う。それに、仲良くなったらなったで私から平気で遠ざけるか排除しようとする。アルが。
「で、ですが、ローエン様と仲良くなれば、私とも・・・。」
「そんな時が来る訳ないだろう?そう思うなら、やってみたらどうだ?現実を見たら、実感出来るだろう。」
アリオンの容赦ない物言い。