第14章 再会
「私を下に見るのは自由ですけど、アルは自分のものにはなりませんよ?」
おおっ、この時になって令嬢の目力が変わった。下に見ていた私から、宣戦布告ともとれる台詞だからだろう。
「アルは死ぬまで私のものですから。」
「そんな事は」
「そう決まっているんです。ね?アル。」
「あぁ。その通りだ。」
その後は、イクスやアリオンがその場を収めてくれた。
この後、アルは超ご機嫌だった。ちょっと言葉を選ぶのを間違えたかも?と思ったけれど、後悔はしていない。
それに引き換え、令嬢は悲劇のヒロインを演じる事にしたらしい。そう言えば、アリオンは何か令嬢の何かを知っている様だった。
「ねぇ、アル。前にノービル様(アリオン)が言っていたことを覚えてる?」
「ん?・・・あぁ、そんなことがあったな。」
「何を知っているのか聞いた?」
「あぁ、聞いている。あの後も暫く、周りから色々と言われたからな。」
「えっ?色々って?」
「酷い仕打ちだったとかだな。至極どうでもいい内容だ。」
「そんなっ。アルは悪くない。」
「気にするな。それで、アリオンから聞いた事だが。」
ファンたちから応援されて、すっかりアルを心変わりさせられると錯覚したらしい。アルとお似合いだとか、私ではアルに相応しくないだとか。
それなのに、肝心のアルから見向きもされない。それでも周りから応援されて、ポジティブさを磨いていたのだろう。
そんな訳で、悲劇のヒロインぶっているあの令嬢は、私のせいで思い合っている二人が引き裂かれていると吹聴しているそうだ。
クラスメイトは、そんな噂を信じる者はいない。でも、他のクラスの一部では、それを真実だと思っている人たちがいるそうだ。全く以って、迷惑な話しである。
ならば、今以上にアルのヤンデレ感を出して貰えばいい。私だって、十分不愉快な思いをして来たんだ。そうして、いつもより二割増しで仲良くしたいって言ったら、アルはその思いに応えてくれた。
そんな発言をした二日後。既に、私は少しだけ後悔しかかっている。そして、令嬢のファンの子息たちは、剣術の授業でアルによって地面に沈められたのだと王子から聞かされた。
そう言えば、アルは剣術が強かった事を思い出した。そして、如何にアルが私を好きか瞳孔が開いた目で延々と説明したそうだ。