第14章 再会
キャサリンと同じ事をしたって訳か・・・。でも、二人が幸せそうなら仕方ないか。折角だから、二人には仲良くして欲しい。
あれからメリアは、そう長い滞在ではなかったけれど、イクスとは懇意にしていると教えてくれた。お蔭で、久しぶりの再会だったのに、メリアとはそう話す時間がなかった。
何となく、このままでは数少ない友人が、私から引き剥がされて行く気がする。主に、アルの策略で。でも、理由が理由だから怒るに怒れない。
それでも、若干気になってしまうのよね。新しい友人を作るタイミングなのかもしれないなぁ。そう思ってたよ?そう思ってたんだけど・・・。
目の前に見せられているのは、花も綻ぶような笑顔を浮かべアルに声を掛けている令嬢。アルは・・・相変わらずの無表情だ。先生の呼び出しから教室に戻って来る途中で声を掛けられた状況だろう。
アルが私に気付いた。そして、令嬢も私を見た。ん?どうして、私にまで笑顔を浮かべている?珍しくはない。今までも、アルに取り入ろうとした令嬢たちが私と仲良くなろうとした事があったから。
そして、もう早い。アルは会話をぶった切って、私の方へと向かって来る。更にいうと、令嬢も然り。今までの令嬢と違って、この令嬢は人望がある。誰にでも優しくて、いつも愛らしい笑顔を浮かべているからファンも多い。
それに、以前・・・私がアルのファンから悪口を言われた時、窘めてくれた事があった。一応、お礼は言ったけど・・・あの時ぶりだ。対面したのは。
「フェっ」
「ご機嫌よう、ローエン様。」
おおっ、アルの声を遮った。アルはすっごい目で令嬢を見てから、私の手を握り締めた。
「クライン様、あまり独り占めはどうかと思いますよ?ローエン様も、同性のご学友がいた方がいいとっ」
アルがさっきよりもすっごい目で、令嬢を見下ろしていた。こんな可愛い令嬢にも容赦ないな。
「そんな目で見ないでください。私はただ、ローエン様と仲良くしたいと思っているだけです。」
アルは何も発せず、令嬢を見下ろすだけ。
「ね、ねぇ?ローエン嬢もそう思いますよね?」
同意を求められた。留学して来た直ぐの頃なら、この言葉も分からなくはない。でも、何故半年もした今なんだ?
そんな考え事をしていたからか、私もついアルの様にジッと令嬢を注視していた。無言のまま。