第13章 フラグってどれだけ立つもの?
そう言っては、勇者に向き直った。公爵家の令嬢で、王太子であるルーエンの婚約者に悪態を付いたとあれば、それ相応の処分が下されるのが分かったのだろう。
ちょっと頭が弱かったのか、勇者は暴露した。
「わ、私はモノフロン様に言った訳じゃありません。そこの他所の国の女に言っただけです。勘違いしている様だから、正してあげようと思っただけなんです!!」
「勘違い?フェリシア様がどんな勘違いしていると仰るのかしら?」
「だ、だって、おかしいでしょう?あんな素敵な人の婚約者が、こんな冴えない女だなんて。その女が相手では可哀想過ぎますよ。きっと、何かしら弱みを握って婚約者の地位を掴んだのだと・・・っ!!?」
勇者は途中で、言葉を吐くのを止めた。理由?アルが戻って来て、私にベッタリだから。おまけに、スリスリされてる。
「ただいま、フェリシア。」
「お帰りなさい、アル。」
「私がいなくて寂しい思いをさせた。私も寂しかったが。さ、直ぐにでも帰って離れていた時間の分、フェリシアを堪能させてくれ。」
時間的に離れていたのはそう長い時間ではない。でも、アルからすればそれがたった五分でも同じ言葉を言ってそうだ。
「アルベルト様は、本当にフェリシア様がお好きよね。」
「あぁ、私の半身だと言ってもいい。愛おしくて可愛いくて仕方ないし私にとって唯一無二の存在だ。モノフロン嬢なら、私のこの気持ちを分かってくれるだろう?」
「勿論、私もその思いを理解出来るわ。」
「それで、アルベルトはどうする?」
口を挟んで来たのは、アリオンだった。
「ルーエンに一報入れておく。私の婚約者を愚弄する者など、生きている価値がないと思うからな。嫌・・・アレがいいか。おい、貴様。私の可愛い婚約者を愚弄した礼をしてやるから、首を洗って待ってろ。では、行こう。」
えっ?礼なのに、首を洗って待たないといけないの?
屋敷に戻ったからも、アルは変わり映えせずに私の傍にいた。アルは一体、勇者に何をするつもりなのだろう?
翌日。
勇者は飛んだ。
要は、交換留学生として私たちの出身国のコスタニア国に行ってしまった。何たる行動力。王族の発言力が怖い。
一つの災難が去ったと思ったのだけど、今度はガキ大将が現れた。綺麗な顔をしたアルを見た後のガキ大将の容姿は、何も思わない。