第12章 ネーフェル王国へ
同性のそれも相手の事を、問題ない存在だと分かって紹介してくれるのは有難い。アルには、少し自重して貰おう。
「それで、イクスのお眼鏡に適う相手はいないのか?」
「この国では難しいだろうな。イアート嬢が、イクスに恋慕しているのを公言しているから。」
ちょっと可哀想。
「ローエン嬢の友人でいい人がいれば、紹介してやってくれ。あ、強制ではないからな?」
えっ、これってフラグ?友人って・・・。
「か、考えてみます。」
即答で拒否を出来ない。でも、そんな私の言葉に、意外にもイクスの方が嬉しそうだった。余程、困っているのだろう。
「では、長居したな。また、学園で会おう。そうそう、我々と同じクラスにしてあるから心配しなくていい。ただ、アレもいるが、それは我慢してくれ。ではな。」
王子はイクスに見送られて、王城に帰って行った。
この後、アルと二人でこれからの事を話し合い。ただ、どうしても、アルは私を独り占めしたい事は譲れないそうだった。
王子の婚約者が私の友人たちみたいに、寛大であります様にと願うしかなかった。
翌日から、私たちは街散策をして必要なものを購入していった。そして、フラグは回収するのが世の常で・・・。
街散策の時に、王子がアレと言っていたガキ大将に遭遇しました。お供を五人連れてのショッピング中らしいのだけど、隣りにいるアルを無視しては私の腕を掴もうとして払いのけられていた。
そうなったら、あのガキ大将は大激怒する訳で・・・。しかし、一つだけ予想外だったのがアルの威圧。ヤンデレが可能な限りを尽くした眼を合わせ反らさせないその行為に、後退るガキ大将。本能で、アルを危険な相手なのだと察知したみたいだ。
「彼女は私の婚約者だ。指一本でも触れたら滅すぞ。頭の片隅にでも止め置くな。いいな?」
「わ、私を誰だと・・・。」
「それ以上口を開くな。潰すぞ?」
虚無の瞳のまま、ガキ大将の眼を覗き込む。すっかり腰が引けている。ちょっとだけ可哀想になってきた。
「アル、そろそろ私を見てくれないと寂しいわ?」
その一言で、アルの機嫌は戻った。
「すまない、寂しい思いをさせた。今日も可愛いな、私の婚約者は。」
アレ?この後のコレは、想定外だった。
何で、こんな店の中で私はアルにキスされているんだろう?頬や額なんかじゃない。唇にだ。