第12章 ネーフェル王国へ
「その照れた顔も愛おしいな。」
この後は、アルの独断場だった。何故か、温い目でガキ大将ご一行に見られてる。頬を赤く染めている人もいる。でも、概ね・・・誰もが羨ましそうに見えた。
ひょっとして・・・皆、アルの美しさに私が羨ましいと思われてる?そうなの?でも、アルは私のだから誰にもあげないんだからねっ!!
「アル、こんな場所じゃ恥ずかしいじゃない。」
「そうだな。その愛らしい顔を他の誰にも見せたくない。早々に帰宅しては、部屋で可愛がろう。」
何か、アルの余計なスイッチを入れてしまった感が否めない。でも、今日はこれで退散した方がいい。
この国に来ての一週間。アルと常に行動しては、毎日がデートや勉学に勤しんだ。アルは私を独り占め出来て、毎日が幸せそうだった。
イクスも必要最低限の関わりだけだったので、大いに二人の時間を楽しんだ。今日もアルのご尊顔が尊い。
あれからのガキ大将は、暫くの間、大人しかったそうだ。でも、元来は高位の貴族。早々に機嫌を上げては・・・夢にアルのあの瞳が現れて、気持ちが挫かれる・・・そんな日々を送っていたらしい。
どうか、そのまま大人しくしていてください。そう思っていた私。でも、何処をどう考え違いしたのか、あのガキ大将は私を手に入れたらアルに勝てると思った様で・・・街で、私を探していたそうだ。
迷惑以外の何ものでもない。
あのまま大人しくしてさえいれば、あのガキ大将もガキ大将のままでいられただろうに。そして、取り巻きたちはこれまた勘違いをこじらせたガキ大将を焚きつけて・・・。
うん、仕方ないか。難しい思春期の世代だものね。
さて、明日は編入初日。
どんな学園生活になるのやら。アルが格好いいからモテるのが心配だけど、心配だからヤンデレ感を放出して貰おう。そうすれば、私は安心するし余計な横槍も入らない。
でもね・・・どの世界にも、ヒロインみたいな勇者がいるんだよね。だからと言って、アルはあげないけど。