第11章 剣術大会
試合が始まり、見た目が少し変わったもののそれでも剣術は凄まじいものだった。アルが一方的に、守備をしている。赤髪攻略者は、ヒロインからの熱いエールを浴びて、盛大に力を発揮している。
「・・・ア、アルっ、頑張って!!」
ヒロインになんか負けるか。ヒロインだけじゃない。アルは私のだもの。誰にもあげない。
「アルベルト、笑ってるな。フェリシア嬢の声援が欲しかったのだろうな。この歓声の中で、フェリシア嬢の声を聞きとれるのがアルベルトらしいとは思うけど。」
冷静に解説をするセーラン。確かに、声援を投げた後はアッと言う間に形勢逆転だった。なぶり殺し・・・ではないのだけど、何と言えばいいのか・・・アルの独断場だった。
赤髪攻略者を撃退し、次はオレンジ頭との試合をなった。そう、モーリスはオレンジ頭に負けた。元々は、腕っぷしの高い身体にも恵まれた存在だった。
「あ~、負けた負けた。」
「お疲れ、モーリス。検討したって。」
気安く声を掛けるのはセーラン。
「来年は勝つ。勿論、アルベルトにもだ。しかし、マジで力が強いよな。まだ、手が痺れてる。何なんだよ、あの腕力。」
「必死なんだよ。これで優勝すれば、落ちた名誉が少しでも返上出来ると思ってんだろうから。」
「エルマルタ公爵家、敵に回してんのに無理だろ。」
「悪足掻きなんだろうよ。アルベルトは続けての試合だから、分が悪いな。モーリスが言う凄い腕力を持っているのなら猶更だ。」
なんて、言っていたのだけど。結果から言って、アルは勝ちました。それも、いとも簡単に。アッサリと。モーリスがあんぐりと口を開けていました。
そして、その後は盛大に爆笑していました。
「やっぱり、アルベルトって面白いヤツだな。でも、これであの件は決定だな。」
「あの件?」
「アルベルト本人から聞くまで内緒。でも、アルベルトの頑張りは全てフェリシア嬢の為だけなんだよな。ホント、頭が下がる。」
授与式が終わると、賞状とダイヤモンドのブローチを貰ったアル。そのまま私の元に来ると、私の制服の襟に輝くブローチを付けてくれた。
「アルもブローチ・・・。」
「ブローチは対になっているんだ。」
「じゃなかった、優勝おめでとう!!凄く格好良かったよ。」
「フェリシアにそう言って貰えただけで、参加した甲斐があった。」