第11章 剣術大会
剣術大会は、予定通りに行われた。そして、カラフル頭に盛大な応援をするヒロイン。周りに貴族の見目のいい子息たちを侍らせての観戦なんて、何って人なんだろう?
流石と言うか、周りの令嬢たちは冷たい視線を送っているのだけど気にした素振りはない。それどころか、仲が良いのを見せつけている風に見える。
そんなヒロインが、クラウド皇子に気付いて駆け寄って来た。ある意味強者だな。皇子の傍には、キャサリンがいると言うのに。まぁ、皇子は人付き合いがいいものなぁ。
「クラウド様、今日はこちらで観覧されるのですか?良かったら、向こうでご一緒されませんか?」
呆れた顔で、ヒロインを見たキャサリン。私も同じ気持ちだ。だがしかし、ヒロインはそんなキャサリンの視線に怯え皇子に縋りつこうとした。
「どうして、そんな怖いお顔で私を見るのですか?私は何もしていないのに。クラウド皇子、私を助けてください。クラウド皇子が見えないところで、私・・・この人から意地悪をされているんです。酷いと思いません・・・か?」
折角、並べた文語だったけれど、感極まった表情をした皇子がキャサリンを見ていた。
「あ、あの・・・クラウド皇子?私の話しを聞いていましたか?」
「キャサリン嬢、この者の言っている事は事実か?」
「事実です!!」
間髪入れない間に、ヒロインが答える。しかし、キャサリンはどう答えようか考えている。
「あの・・・いつから、お名前で呼ばせる間柄になったのですか?」
「さぁ?私は了承した覚えはない。あぁ、フェリシア嬢たちは承諾した覚えはあるが。」
「ならば、何故?」
「これは、私のキャサリン嬢が可愛い嫉妬をしてくれていると言うことか?そうなのか?それなら、何って幸福で愛おしいのだろう!!だが、そんなものは意味などないと分かってくれ。私の伴侶となって、私と国を発展させるべく尽力していくのはキャサリン嬢以外考えられない。この私の思いが・・・」
皇子が如何にキャサリンだけを思い、愛しているのか・・・あ~、何か以前のアルを見ているみたい。キャサリンは、どう収束すればいいのか私に助けを求める目を向けている。
なので、メリアとイリスと共に親指を立てておいた。
私は一人で頑張った。だから、キャサリンも大丈夫だ。そして、ヒロインはポカンとした顔をしている。