第9章 悪役令嬢は美人
どうしよう?って顔で、私を見て来る。なので、親指を立てておいた。ヤンデレ仲間万歳である。
「あの・・・申し出は大変有難いのですが、私は家同士で決まっているお見合いが控えております。ですので・・・。」
「私が相手では、美しい貴女には不相応か?」
「そ、そんな事は。ですが、きっと顔合わせが終わりましたら、婚約は纏まってしまうと思います。」
「分かった。では、それが無くなればいいと言う事ですね。今日はこれで失礼します。また、後日、貴女に求婚させていただきます。では、失礼。」
颯爽とその場から去って行った皇子。キャサリンは、呆けたまま。
「ねぇ、フェリシア・・・これって夢かしら?」
「現実だよ。多分・・・アレは諦めてないよね。」
「で、でも、私にはお見合いが・・・。」
「そんなの、皇子ならどうにでも出来ると思うけど。」
「ど、ど、どうしようっ!!!推しが格好いい。」
「落ち着いて、キャサリン。多分、ただ格好いいだけじゃないと思うけど。ま、頑張って。」
すっかり真っ赤になった顔のまま、格好いいを連呼しているキャサリン。その姿を見て、これは間違いなくヤンデレ仲間になるなと考えていた。
「フェリシア、終わった?」
「えっ?あ、アル?終わったって?」
アルは何も言わずに、穏やかな表情をしていた。あぁ、そうか。だから、この時間までワザとアルは傍にいなかったのか。
「クラウド皇子の事、知っていたの?」
「セーランから聞いた。悪役令嬢の美人を探しているって。」
「言ってくれれば良かったのに。」
「それはなるべく避けたい。」
「どうして?」
「私の可愛いフェリシアの頭の中には、私だけを思っていて欲しいから。」
あ・・・アルはこういう人だった。
「フフ、ご馳走様。フェリシア。」
そんな事を言って笑うキャサリンだけど、貴女も直に私の仲間だよ?今は言わないけど。
ただ、クラウド皇子を思って頬を染めるキャサリンは、皇子が言う通りに美人だった。私も悪役令嬢だけど、美人とは言われないな。ま、どうでもいいか。
「フェリシア、私たちの教室に戻ろう?」
私の手を握り締め、その場から連れ出したアル。そう言えば、アルはキャサリンの方のゲームに出て来る攻略者だ。アルはキャサリンを好きになったりとかは・・・。
見上げたアルの顔。直ぐに私の視線に気付き、柔らかい表情を見せてくれる。