第9章 悪役令嬢は美人
ある意味、アルがヤンデレ気質だから私はヤキモチ妬いたりしなくて済むのかな?
「これで、エルマルタ嬢との時間が減るだろうから、私との時間が増やせるな。嬉しいよ。」
「アルは、本当にブレないね。」
「こんな私が好きだろう?」
「否定できないけど。」
「私もフェリシアだけを愛しているから。」
お願いだから、こんな校内でそんな恥ずかしい言葉を言わないで欲しい。そういうところも、アルらしいのだけど。
教室に戻ると、セーランからお礼を言われた。でも、クラウド皇子の姿が見えない。
「クラウドなら、時間勝負だと言って手を打ちに行った。」
「大丈夫かな・・・。」
「クラウドはアイツより強かで賢いから、上手くやるだろうよ。それに、アイツにはない人望もあるヤツだから。」
もうこれは、決まった様なものなのかもしれない。良かったね、キャサリン。良かったんだよね?
「アル・・・放課後、時間ある?」
「フェリシアをその間、ずっとハグしてていいのなら。」
「・・・あ、あ~・・・うん、い、いいから。」
「フェリシア嬢も、アルに甘いのな。現実的にハグされたままになるだろうに。」
「セーラン、余計なことを言うな。」
この日の放課後。
アルのお屋敷に連行されて、本当にハグされたまま髪を撫でられキスもされ私を凝視したままの何とも言えない状況になった。
「あぁ、そうだった。今日は泊っていけばいいよ。家には連絡してあるから。」
「えっ?でも、明日の準備は何も・・・。」
「その事なら手配してあるから問題ない。」
「最初からそのつもりだった?」
「次はフェリシアの家で私が泊るから、何も問題ない。」
問題の意味がどうなの?
でも、結局は私が一方的に話題を提供して、アルはその間ずっと私を腕の中に抱き入れたままスキンシップを楽しんでいる。これが、今十三歳。この先どうなるのだろう?
アルの隣りの部屋は、既に私の部屋が用意されている。流石に、アルの部屋でベッドも一緒って事はないけど、私が冗談でもそれを望めば了承されそうな気がしないでもない。言わないけど。
そして、明日。クラウド皇子から、驚く事を報告されることになる。