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異世界転生したらゲームの悪役令嬢でした

第8章 嫌がらせ


「フェリシアが訪ねて来てくれるなんて、何かあったの?」
「ううん。キャサリンが元気かなって気になっただけ。でも、親しくしている友人がいるみたいで安心してた。」
「ありがとう。あぁ、アルベルト様も・・・そりゃあ、そうよね。安定の存在だわ。」
「フフ、そうね。過保護だから。」
「アルベルト様を過保護だと言えるのは、フェリシアくらいよ。これも、安定に仲が良くて羨ましいけど。フェリシアの方も大丈夫なの?」

宰相の娘の事を言っているのだろう。モーリスやセーランのお陰で、領地に屋敷で引き籠っているみたいだけど。

「うん。私にもアルがいてくれるから。」
「いいなぁ、フェリシアは。私ね・・・お見合いを勧められてるの。」
「ど、どんな人?知っている人?年齢は?」
「お、落ち着いて。ねぇ、また遊びに行ってもいい?」
「今日にでもくれば?」
「ア、アルっ?」

少し離れた場所で待っていてくれたのに、いつの間にか直ぐ傍にいた。そして、安定に私の手を握り締めている。

「今日、いい?」
「勿論だよ。」

言葉通りに、この日の放課後、キャサリンは訪ねて来た。アルもいつもの様に同席している。

「ゲームの通りなら、私はフェリシアの方の王子とヒロインとの間に出来た王子の婚約者だと言ったでしょう?」
「うん、そうだったね。でも、今は未だその環境じゃないから・・・。」
「そう。それで、お父様に押し切られちゃった。いい加減、婚約者を見つけろって。ホラ、これでも公爵令嬢だから。」

忘れていたけれど、そうだった。王子の婚約者だけあって、高位の貴族設定だ。伯爵家の私はある意味特別だったのかもしれない。

「そういう風に進言したのは、あのバカ王子が原因か?」
「どうしてそれを・・・。」
「そうやって、フェリシアを同性から孤立させたいのだろうな。腐っても王族からの進言だ。エルマルタ嬢のお父上も簡単に拒否出来なかったのだろう。」
「そんな・・・私のせい?」
「それは違う。あのバカ王子のせいよ。フェリシアは何も悪くない。」
「バカ王子って・・・。」
「いいのよ。だって、そうだもの。こんな姑息な嫌がらせをする王子よ?」

キャサリンが憤慨している。この日は、キャサリンの思いの丈を聞いて終わった。どうしても吐き出したかったのだろうと思う。

「フェリシア、そんな泣きそうな顔をするな。」
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