第7章 思いがけない人との出会い
「貴女の婚約者、ゲームより執着が凄いもの。そんな人を手玉に取っているから、一部の人から尊敬されてるわ。だからこそ、自分のものにして自身にない人望を得ようとしているのだと思う。」
王子に人望がないと言うことは、この前モーリスも言っていた。でも、それは自分でどうにかしないといけないと思う。
「あの・・・貴方の推しは?」
「隠しキャラよ。」
あぁ、遠い目をする私。ヒロインと懇意にしていた風に見えていたからだ。
「いいのよ、私のことは。高嶺の花だって分かっているから。ただね・・・ゲーム通りに素敵な人だったから、その事だけは嬉しかった。」
「どういう事?」
「街のあるお店で絡まれていた時に、助けてくれたの。仮面をしていたけど、直ぐに分かったわ。本当に大好きだったもの。」
「絡んで来た人って、あのカラフル頭?」
令嬢は頷いた。
「婚約者にこの事を話す?」
「そうね。信じにくい話しかもしれないけど、隠し事はしたくないわ。」
この時になって、要約、令嬢は笑った。
「信じられないじゃなくて、信じにくいって言う辺り、本当に婚約者のことを信じているのね。・・・良かったですね、クライン様。
令嬢は、扉の方に向かってそう言った。
「ア、アルっ!!い、いつから・・・。」
「今日この時間を提案してくれたのは、クライン様なの。」
「えっ・・・どうして?」
「何故か、貴女と被って見えたみたい。今世では知らない事を知っていたり、ヒロインが執着していたりとか。」
「アルは、この話しを聞いてどう思った?」
「別に、どうとも。ただ、あのクズ王子は御退場して貰おうとは思っているが。フェリシアは私の可愛い婚約者だからな。」
この後、モーリスやセーランもこの話しを知っている事を教えられてかなり驚いた。
「気持ち悪いとか・・・。」
「思う訳などないと、分かっているだろう?逆に言わせて貰えば、そのゲームとやらを混載してくれて感謝しているくらいだからな。」
人前でも、通常運転とばかりにベタベタしてくる。
「ねぇ、アル。エルマルタ様と仲良くなりたい。出来れば、手助けしたい。私のお願い聞いてくれる?」
「そういうと思ったから、フェリシアがこの先彼女を知った時に後悔しないでいられる様に手配したんだ。」
「ありがとう、アル。大好き。」