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異世界転生したらゲームの悪役令嬢でした

第6章 学期末テスト


「ですが・・・それじゃあ、ローエン様ってクライン様のただのお荷物なんじゃないですか。高位の貴族令嬢なのですから、少しはご自身で頑張られた方がいいのでは、ヒィッ!!?」

割り込んで来たヒロインがそんな言葉を吐いたけれど、最後は小さく悲鳴を上げていた。第一、そんなことを他人に言われなくとも私だって危惧した事はあった。

だからこそ、アルの成績が下がるまでと期限付きなのだ。まぁ、多分、そういうことは起こらない気がするけれど。

えっと・・・王子の存在は無視して、皆が冷やかな目でヒロインを見ている。これはどういう状況なのだろう?

「貴様は、鳥頭だったんだな。」

ん?今の声はモーリス。ヒロイン相手に残念な子を見る様な目となっている。

「先日の事で苦言を言われた筈なのに、そんなに高位の貴族に悪態をついて何がしたいんだ?頭が弱いにも程があるだろ。」
「いいんじゃない?理解出来ないのなら、理解させてやるのも俺たちの務めでしょ。そうだなぁ・・・いっそ、男爵家潰せばその空っぽの頭でも理解出来るんじゃないかな。」

辛辣なセーランの言葉に、ヒロインは縋る様に王子を見ていた。だがしかし、王子はヒロインに興味を示していない。お互いに思い合っているのではなかったの?

「思い上がっていられるのもいつまで出来るか楽しみだな。だが、私がこの国の第一王子だと言うことを忘れるなよ?」

吐いて捨てる様にいなくなった王子。その場に取り残されたのはヒロイン。諦めた様で、王子の後を追い掛けて行った。

「あんなだから、お前は人望がないんだよ。」

苦々しい顔をしたモーリスと、ただ冷たい視線を向けていたセーラン。ただ、ソリが合わないくらいの溝ではない気がした瞬間だった。

この夜、アルは変わらず脇目もふらずに私に集中。べったりと傍に張り付いて、私にレクチャーしてくれる。至近距離から浴びせられる視線も、今では慣れた。人の慣れって凄いと思う。

チラッと視線を向けると、直ぐに目が合う。私の髪を撫でながら、私の言おうとしている事を汲み取ろうとしてくれる。事実、一言一句違えずに理解しようと、私から視線を反らさない。

「・・・なぁ、いつもこんななのか?嫌、そうなんだろうな。フェリシア嬢も、この視線によく耐えられるな。尊敬する。」
「三年という月日が、私に慣れという時間を与えてくれましたから。」

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