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異世界転生したらゲームの悪役令嬢でした

第6章 学期末テスト


友人たちはいつものことだと通常運転で微笑ましそうにされるけど、確かにモーリスとセーランは驚くだろう。

「アル、次のテストの自信は?」
「自信?そんなもの必要ないだろ。当たり前に当たり前のことをやるだけだ。」
「あぁ、はいはい。アルベルトはそういうヤツだったな。」
「アルベルトは、剣術もかなりの腕前だもんな。あの騎士団長の息子にさえ勝てるくらいに。」

あの赤髪の攻略者のことか。そっか、そんな人に勝てるのか。

「もしもの時に、私の手でフェリシアを守れないと意味がないだろう?これは、クライン家ならば当たり前のことだからな。」

今回の勉強会は、思った以上に和気藹々として楽しい時間だった。アルのレクチャーを受けて、私は何とか気持ちを奮い立たせた。

手応えを感じてテストが終わった、翌日のこと。解放感たっぷりに、街へとアルと散策に来ていた。

「後は夏休みを待つだけだな。」
「うん。アル、いつもありがとうね。」
「礼には及ばない。可愛い私のフェリシアの為なら、どんな手助けでも厭わないからな。」

こんな甘い時間を過ごしていた私たちに、驚く展開が待っているとはこの時は考えてもみなかった。

それにしても、今日もアルはカッコイイ。凄くカッコイイ。アルを見上げれば、何かに気付いたらしく少し眉間に皺が寄っていた。

その視線の先にいたのは、ヒロインと・・・アレは誰?王子でもカラフル頭の攻略者でもない、何処かの令息と親密にしていた。

相手はそう・・典型的な金髪碧眼で、王子様と言われる様な見た目。モブにしては、目立つ存在。あ、こんな道の往来なのにキスしてる?

「・・・のか。本当に、強かだな。」
「アル?」
「キスして欲しい?」
「ち、違うからっ!!ば、馬車の中ならいいけど。」
「なら、馬車の中でな。」

なんて、私がそう望んだ様な言い草だ。ちょっとだけ、動揺して返答が間違っただけなのに。

嫌、ちょっと羨ましいとは思わなくもないけど。でも、私はこんな街の真ん中でキスする勇気はない。

「大丈夫、遠回りして帰るから。」

何が大丈夫なのか分からない。遠回りって・・・う、嬉しいけど。でも、ヒロインといたあの人は誰なんだろう?

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