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異世界転生したらゲームの悪役令嬢でした

第6章 学期末テスト


高位の貴族だと言うのに、随分分かりやすい態度だと思う。

「クライン家の者にハニートラップなんて、無意味だと理解出来ない愚かなヤツだなとは思ったが。なぁ、フェリシア。次からは、あんな呼び出しは無いとを思うが、フェリシアとの時間が減るから対応はその場で私が完結してもいいか?」
「アルの好きにすればいいよ。私はアルを信じてるし、アルは私が好きだものね。私もアルが好きだけど。」

あ、王子の碧眼の瞳の雰囲気が変わった。一瞬だったけれど、不機嫌さを示していたのは分かった。

「あ~、私の婚約者が今日も可愛い。食べてしまいたい。」

と、私の耳を甘噛みするアル。吃驚した私は、羞恥で顔を赤くした。最近、スキンシップがバージョンアップしている気がする。

「クライン・・・。」
「羨ましいか?だが、フェリシアは私のものだ。行くぞ、フェリシア。」
「う、うん。皆も教室に戻ろう。」

アルはこの後、何故かご機嫌だった。しかし、アルへの令嬢たちからの呼び出しは後を絶たない。でも、アルはその場で自己完結した。こんな事に意味があるのか?

そして、とうとう皆で集まっての勉強会。授業が終わり荷物を片付けていると、私たちの目の前に王子が現れた。

「ローエン嬢、今日からキミの屋敷で勉強会を開くのだろう?私も参加していいか?」
「えっ、無理です。」

まさか、こうも簡単に拒否されるとは思ってもみなかったのだろう。珍しく目を見開いて、驚いた顔をしていた。

「な、何故?私はクラスメイトでもあるし、学年で一位の好成績だ。キミにとっても、私がいた方が・・・。」
「ケヴィン、もう一人の一位の存在を忘れていないか?」

モーリスの突っ込みに、それでも王子は引き下がらなかった。自分の存在が、如何にいい影響を与えるかプレゼンしているのだけど。

「お前さ・・頭は悪くないのに、遣り方は愚策以外の何ものでもないな。勉強会とはいえ、アルベルトはフェリシア嬢に付きっ切りだ。」
「自身の勉強は?」
「フェリシア嬢に教えている事で、曖昧なものも確信になるそうだぞ。そういう事を、婚約してからこの三年もの間、結果を出しているから誰からも問題視されない。」

アルは器用だとは思う。でも、努力していない訳じゃない。

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