第6章 学期末テスト
翌日は、普段と変わりない学園生活。オレンジ頭の攻略者は、停学で学園には来ていなかったらしいし令嬢の方も怪我のせいで休んでいるのだと噂で聞いた。
あれから数日。アルやモーリスとセーランたちが、ヒソヒソと話しをしているところを見掛ける様になった。話題の内容は教えてはくれないけれど、ヒロインが近付いて来ることはなかったので不安に悩まされることはなかった。
「また、難しい顔をして何か話しているのね。」
「最近、特に増えたわね。」
友人二人もそんな会話がなされる訳だから、気にしていなかった呑気な私だったのだけど気になる様になってきた。二人も話題の内容は教えて貰えなかった様で、私たち三人も額を突き合わせて彼らの事を色々と話す様になった。
この日も、三人で彼らのことで話していたのだけど・・・声を掛けて来たのは、王子と青髪の攻略者。無意識にアルの姿を探してしまっていた私に、王子はこう言った。
「クラインを探しているのなら、向こうの校舎裏で他の令嬢と話をしていた。」
「随分、親密な様子だったぞ。」
青髪の攻略者って、こんなニヤニヤしてイヤミったらしいキャラだったっけ?
「そうですか。教えて下さってありがとうございます。」
「二人の仲に割り込まなくていいのか?」
「問題はないです。」
「そうか?私たちが声を掛けたら、クラインの事を探していただろう?」
それは認める。でも、私のこの行動は無意識で通常運転だ。その事は、友人二人も知っている。
「そんな悠長な事をしていたらっ!!?」
王子の言葉は、それ以上は続かなかった。私の首に回された腕が誰のものなのかなんて、確認しなくても分かる。
「アル、用は終わったの?」
「フェリシアが、話しくらいは聞いてあげた方がいいと言うからその通りにしただけ。」
「また、聞いていただけ?」
「そうだな。勝手に自己完結するから、言葉通りに聞いていただけだ。あ、でも・・・。」
「でも?」
「同じセリフしか言わないから、一言だけ聞いた。誰にこんな事を頼まれたのかってな。面白い様に顔色変えたから、想像は確信になったけど。」
アルの顔を見たけれど、アルが視線を向けていたのは王子だった。そして、青髪の攻略者にもチラっと視線を向ける。それによって、顔色を変えたのは青髪の攻略者。