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異世界転生したらゲームの悪役令嬢でした

第6章 学期末テスト


「フェリシア、何を考えてる?私以外に心を砕く必要など無意味だろう?」

ん??何か、とんでもない自己主張をしてきたアルに、呆れ顔のモーリスとそれでこそアルベルトだと笑っているセーラン。本当に振り切れた情愛は、アルの源だと言っても過言ではないのかもしれない。

「わ、私だって色々と・・・。」
「フェリシアの憂いは、帰りに一言一句全て聞くから。」
「もうっ、アルったら。」

結局、私には甘いのだ。

アルは頭も良いし、今の私はそれなりに勉強で苦労している訳じゃない。何を隠そう、アルは学年で一番の高成績だ。そして、同率一位が王子である。

モーリスやセーランだけじゃなく、友人二人も十位以内に入っている。私もアルのお陰で検討出来ている。付きっ切りで教えてくれるし、頑張ったご褒美もくれる。どちらかというと、アルのご褒美なのかもしれないけれど。

両親たちは、アルの成績や私の検討もあり、勉強会のことを何も言われない。成人するまでは子を作るなとは言われているけれど、その言葉だけは守っているのでかなり甘く二人の時間を過ごせられている。

授業が終わりアルの家の馬車へと手を引かれ向かっていると、どこからともなく甲高い声が響けば鈍い音が聞こえた。曲がり角を曲がれば、視界に入って来たのは高位の令嬢が床に倒れていたシチュエーション。

咄嗟にアルに視界を遮られる。慌ただしく誰かが呼びに行ったのか先生が現れ、その場の検証をしていた。嫌でも、ギャラリーの声が聞こえて来る。

どうやら倒れている令嬢を殴ったのは、オレンジ色の髪色の攻略者。そして、何やら気持ちが高ぶっているみたいだ。まだ殴り足りないのか罵声を浴びせているけれど、他の攻略者たちに羽交い絞めにされて止められていた。

人混みでごった返す中、私はアルに寄り添いギュッと目を閉じていた。やがて、他の先生たちも現れ学生たちは外へと出されて行った。私たちも例に漏れず、学園内から外に出られた。

アルはサッサと私を馬車へと押し込み、自身も直ぐに乗り込む。発車した馬車の中から、外に目を向けたアル。

「強かだよな・・・。」

ポツリと呟いたアルに、どういう意味か聞いてみたが最後まで教えてはくれなかった。
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