第18章 帰国
ニヤリと笑うアルに、私は詳しく話しを聞く。
「モーリスは同盟国の一つである、王女と婚約した。私の母上の学友であった現王妃の第一王女だ。そしてもう一つ。セーランの母君の学友だったその国の公爵家の娘との縁談も結ばれたらしい。」
「配偶者同士も従姉妹?」
「そうだ。モーリスとセーランの様に、仲はいいと聞いている。そうなれば、無敵だと思わないか?」
「凄い展開で吃驚だけど、王子は?」
「婚約者の侯爵家に婿入りだ。」
第一王子が婿入り。まさかの展開である。
「アル・・・何か、もう一波乱ありそうなんだけど気のせいかな?」
「あるだろうが、モーリスの王太子が決まった今となっては駄々を捏ねても無意味だろう。ひょっとしたら、逆にあの言葉を言われるかもしれないな。私が王太子だから平伏せとな。」
あぁ、そう言えば・・・。最大限の屈辱だろうな。
「アル。」
名を呼び、ギュッと擦り寄る。
「どうした?」
「ううん、何となく。」
「案じなくとも、フェリシアは私のものだ。あぁ、それともう一つ言っておかないとな。国に戻ったら、フェリシアは我がクライン家で生活して貰う。私と同じ部屋でな。」
「えっ?突然、どうしてそんな事に?まさか、何か怖い事とか危ない事があるの?」
「もう肌も合わせたのだから、私から離す訳がないだろう?四六時中、私はフェリシアを感じていたいからな。伯爵家には、承諾を得てあるから問題ない。」
極限のヤンデレだ。まさか、同衾で生活が始まるなんて。
「一度、家に戻る事は?」
「私がフェリシアを離すと思うか?」
いい笑顔でそんな事を言われる。本当に凄くいい笑顔だ。
「愛している私を、傍に置きたいとは思わないか?私のこの顔もこの身体もフェリシア好みだろう?それでも、どうしてもと言うなら・・・間違って懐妊なんて事になりそうだがその方がいいか?」
全然良くない!!
「フェリシアの為に、ダットン嬢の留学の後押しをしたんだから私の傍にいてくれ。」
そう、エリシアを伴い国に戻っている最中だ。この事は、キャサリンにも報告している。だって、折角の同性の友人なんだもの。
「フェリシア、返事は?それとも、今、この中で子作りするか?」
あ、何かヤバい。アルがどんどん病んでいく。