禪院直哉に溺愛されてるのですが助けてください!✿R18✿
第3章 第三章✿目覚め:初恋
季節は秋、夏の空気とはうってかわり、早朝ともなれば冷たさを含んだ空気が頬と素足を撫でる。
は日本庭園の紅葉の木の下で、舞妓としての最後の舞を舞っていた。
雅に、はんなりと、しなやかに、たおやかに。
扇子も持たずに、見上げるのは揃えた指の先。
緑から黄色、黄色から赤へと色付いて行く紅葉の葉。
ひとしきり舞終えた後で、は紅葉を見上げた。
(まるで、···仕込みさんから舞妓、舞妓から芸妓になる私達みたいやわ)
「···っ、」
さわさわと冷たい風が吹いて、の長い黒髪が揺れたそんな時。
「そこで何しとんのや!」
「っ、!···?」
驚いて振り向けば、直哉が息を切らして立っていた。
「何や部屋に行けばおらへんし、見つけた思たら舞ってて話しかけられへんし」
(見られてた?···え、待っててくれたの?終わるまで··?)
は目を丸くして驚いていた。
これが昨日の横暴野郎なのかと。
「こんなに手ぇ冷やして、オマケに素足やと?自分風邪でもひきたいんか」
ヒョイっと、直哉はを横抱きにした。
「うわぁっ!!ちょっと」
「···もうちょい可愛らしい声出せんのかいな。ほな、部屋に戻るで」
「余計なお世話!離して!」
「あぁ、昨日より軽いさかい、安心せぇや」
「つ〜!!デリカシーって言葉知ってます!?」
二人の痴話喧嘩は、屋敷内に響き渡っていたのを二人は知らない。