禪院直哉に溺愛されてるのですが助けてください!✿R18✿
第3章 第三章✿目覚め:初恋
(あかん···ぜんっぜん眠れへんかった)
とのこれからの事で頭がいっぱいになっていた直哉は、布団に入ったまま一睡もせずに朝を迎えた。
今日は特に予定はなかったが、がこの屋敷にいる、そう意識すると胸が落ち着かなくなり、のっそりと起き上がった。
(まずは、挨拶からしたらええんか?)
一度も女と言う好いた対象がいた事の無い直哉は、初めての壁にぶち当たる。
普段の直哉からは想像も出来ないほど、彼はヘタレになっていた。
✿
所変わり、の部屋にて。
やんわりと朝日の溶け込む和室で、ゆっくりと瞼を開けたは、普段との部屋の景色の違いに昨日の事を思い出した。
(そっか、···私···)
嗅ぎなれ無い井草の匂い。
青い上質な畳み。
ゆっくりと体を起こせば、一人部屋にしては広すぎる和室の中に、ポツンと一人で眠っていた。
(案外私は、図太いのかもしれへんなぁ···ぁ)
胸の内で呟いた関西弁に、ふっ、と、自分はもう舞妓では無いのだと思い出す。
3年間。
長いようで、短かった。
浴衣の合わせに手を当てて、まさかこんな形で辞める事になるとは思ってもいなかった。
(···寂しいもんやねぇ)
いつかは舞妓を辞めるそんな日が来る。
未練が無いと言ったら嘘になる。
しゃーないな、なんて思えない。
だから、これで区切りを付けよ。
は、素足のままで部屋を飛び出した。