禪院直哉に溺愛されてるのですが助けてください!✿R18✿
第2章 第二話✿出会い:馴れ初め
「それにしても、よう化けたもんやなぁ?女は怖いわ」
直哉はの顎を掴んで、自分の方へと向けた。
すかさずパシッと直哉の手をはらった。
「っ、触らないで!」
「口調、そっちが素なん?」
「···」
「お、黙ってしもた」
楽しそうにニヤニヤ笑いながら、からかうようだ。
「そういや、屋形のお母さんから伝言や。体には気ぃつけて、お気張りやす、と」
「··!!それって」
舞妓を辞めると言う事だ。
心臓が嫌な音を立てて、どくどくと脈打つ。
「私、いくらだったんですか?」
「君が一生働いても払えない、大金や」
布団をギュッと握って、唇を噛んだ。
「そないに噛んだら、唇が切れるで」
「卑怯です!!」
(ここで私が逃げ出しても、両親に借金が回るだけだ)
逃げられないし、お金も用意出来ない。
「何とでも言いなや。俺はアンタを見逃したりはせぇへんし、下手な気ぃ起こしたら閉じ込めるさかい、そのつもりでな」
「···、」
「家ん中なら移動自由やから、好きにせぇ。せやせや、大事な事忘れとった。本名、なんて言うん?自分」
教える気などさらさらないし、話したくもない。
ぐちゃぐちゃに澱んだ感情が、溢れ出す。