禪院直哉に溺愛されてるのですが助けてください!✿R18✿
第2章 第二話✿出会い:馴れ初め
(あぁ、クソほどつまらん)
上座にて、直哉は熱燗をぐいっと仰いだ。
つり上げられた目尻は不機嫌そうに細められ、片膝を立て座っていた。
そんな中で、物静かで柔らかな通る声。
今日招いたと言う花街一番の舞妓の声。
落ち着いた青い着物に紅葉の日本刺繍。
金と黒のだらり帯。
しなやかに舞う舞妓は、流し目を扇子に隠した。
「···、あ?」
何かが、直哉の癪に触った。
大勢を前にしても、動じずにしゃんとして気品に溢れる姿。
しなやかな舞の中に、どこが芯のある強さを感じ取った直哉は、今まで出会った女とは違う何かを見ているようだった。
「直哉様?」
突如として立ち上がった直哉は、ズンズンと千華に近づいて行った。
「な、直哉様!?」
騒がしくなる宴会。
凛と舞続ける千華。
「おいっ!!」
「···、!?」
直哉は千華の腕を掴み、ギリギリと力を込めて握り締めた。
「へぇ、なんでっしゃろ。···旦那様?」
「···、っ!?」
───どくんっ!
痛みに一瞬だけ額に眉を寄せた千華。
しかし、何でもないように瞳を細め、直哉を真っ直ぐ見つめて問いかける。
その瞬間、直哉の心臓は千華のか弱そうな眼差しに撃ち抜かれた。