禪院直哉に溺愛されてるのですが助けてください!✿R18✿
第2章 第二話✿出会い:馴れ初め
「今日は何や、あの禪院さんとこにお呼ばされたんどす。気張っていけや、千華(せんか)」
「へぇ。おおきにお母さん。ほな、行ってきます」
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──ポクポク。シャンシャン。
京の夜。
夜の花街に、おこぼの音が鳴り響く。
綺麗に結わえられた日本髪に、顔から項には白塗りの化粧。
結わえられた日本髪には、摘み細工の花簪。
銀の簪がシャラシャラと輝く。
簪からのびたぶらが、千華が一歩一歩歩く度に揺れる。
垂れ目がちな化粧された目尻と、小ぶりな唇には紅をさし、憂いを帯びた瞳。
落ち着いた色合いの紅葉の友禅染の着物に、だらり帯。
千華が歩く度に、誰もが振り向いた。
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「本日は、よろしゅうおたの申します···千華と申します」
禪院家にて。
宴会の席。
「おぉ、これはえらいべっぴんさんが来はったなぁ」
三味線と唄に流れを乗せて、丁寧に感情を乗せて舞を披露する千華の姿に、誰もが目を奪われる。
扇子から覗く潤んだ瞳、きゅっと引き締められた紅をひいた口。
誰もが、見蕩れていた。
花街一番の、舞妓の姿に。