第6章 何度でも好きという
静かな夜だった。
葉月は、いつものように自室で一人考えこんでいた。
今日も優しかった。
今日も距離が近かった。
でも——やっぱり「好き」とは言わない。
…もう、期待するのやめよう
そう決めた
決めたはずなのに
上手くできなくて
次に会ったとき、
光秀さんと、少し距離を取ってしまった。
目を合わせない。
笑いすぎない。
自分から話しかけない。
期待していない、そう告げるかのように…
⸻
それに気づかない男ではない。
光秀は、すぐに察した。
「……また、おかしなことを考えているな」
葉月の反応が、自分で蒔いた種だと理解した。
だが、思っていた以上に——
この胸が、ざわつく。
⸻
光秀は、葉月の部屋を訪れた。
「今日は随分とおとなしいな」
「……そうですか?」
よそよそしい。
そう感じ、光秀の顔が少し歪む。
「俺を避けているか?」
「そんなことありません」
きっぱりと答える。
いつものようにからかえば、
笑って赤くなるはずなのに。
今日は、ならない。
その瞬間。
胸の奥で、何かが焦げた。
「……誰か、他にいるのか」
低く、抑えきれずに出た声は、思ったより重かった。
葉月は驚いて顔を上げる。
「え?」
「他の男と話すな」
命令のようにきつく溢れた言葉。
違う。
こんな言い方をしたいわけではない。
だが。
“手遅れになるかもしれない”
その考えが、俺を揺らして不安にさせた。