第6章 何度でも好きという
一方で、葉月は…
また考えてしまう。
目が合うたび、胸が高鳴るのは自分だけ。
微笑みが優しいのは、誰にでもなのかもしれない。
本当に好きなら、
もっと真剣な顔で、
もっと重い声で、
ちゃんと「好き」と言うはずだ。
私はそんな風に、軽くは言えない。
だから——
彼も、本気じゃない。
そう結論づけるしかなかった。
⸻
そんな風に考えている、葉月の背後に、俺は立っていた。
気配を消すのは得意だ。
「……何を考えている?」
「べ、別に」
嘘だな。
耳が赤い。
「俺が軽い男に見えるか?」
「え?」
「誰にでもああ言うと思っているのなら、心外だ」
低く、静かにそう言った。
まるで、葉月の逃げ場を塞ぐように。
「……違うんですか」
葉月の声は、かすれていた。
ああ。
そこまで追い詰められているのか。
不安そうな葉月に一歩近づく。
「お前にだけだ」
囁くように、そう言った。
だが——
「好き」とは、言わない。
それでも言葉は、全部本音だ。
「それでもわからないか?」
…あぁ。こんな風に言えば
お前はきっと、また混乱するのだろう。
だが、必死に俺を見つめる目が見れるなら、
まだこのままでいい。