第1章 五条悟と夏油姉弟①
注文したパンケーキが来て、早速が「硝子さんのお口に合えばいいんだけど…」と私の分を小皿に取り分けてくれたので食べてみた。
コーヒーシロップが染み込んでいるパンケーキはコーヒー感強めで、上にかけられている滑らかなクリームとほろ苦いココアパウダーとで合わせて食べると相性抜群だ。
「これは美味しいわ」
予想外の美味しさに思わず呟いた私に対して、は「それなら良かった」と微笑みながら心底喜んでくれた。
そんなはホントに可愛くて優しくて癒される。
夏油がシスコンになるのも、五条が惚れるのも分かる気がする。
「悟くん、私達の分も小皿に分けよっか?」
「めんどくせーから、つつき合えばよくない?…がそれでもよければだけど」
「あっ、うん…それでも私はいいよ」
「俺どんどん食っちゃうから、遠慮せずにつつけよ?なんなら先にちょっとこっち食べとく?」
「うん…悟くん、ありがとうね。私の我儘に付き合ってくれて」
「…いいよ。俺もそっち食べてみたいし」
「悟、ありがとう。私の姉の我儘に付き合ってくれて」
「いや、オマエに感謝される筋合いはねーよ!」
そんな三人の様子を私はコーヒーを啜りながら傍観した。