第1章 五条悟と夏油姉弟①
「悟は私達の前では見栄張って天邪鬼な態度になるけど、なんだかんだには優しいからね」
確かにさっきのカフェでのやりとりのように、五条がに対して不器用ながら優しさを見せて頑張っている姿はたまに見る。
だからこそ、五条がを本気で好きだということは分かるのだ。
「が誰かを好きになるなんて今までなかったから…ほら、は可愛いし優しいだろう?勘違いして近づこうとする輩は結構いたんだけど、私のような弟がいるからか、そういう輩を異性として意識したことはなかったみたいでね」
夏油の言い分に私は呆れて声も出なかったが、なんとなく理解してしまった。
夏油もクズだが、外面が良くて気遣いができるモテる部類の男だ。
そんな弟に溺愛されてきたことがにとっての普通ならば、そこら辺にいる凡人の男どもに靡かないのも無理はない。
そしてそんな男どもは早い段階で夏油に牽制されて、に近づくことすらできなくなったのだろう。
「の気持ちは尊重してあげたいと思うけど…今は、悟にを任せられるか見定めてるところかな」
に相応しくないと判断したならば、夏油は五条でも容赦なく鉄槌を下すのだろう。
確かにには幸せになってもらいたいものだが…
このシスコンのへの思いは激重すぎてやっぱりヤバいなとつくづく思った。