第1章 五条悟と夏油姉弟①
カフェの後、四人で街中をぶらぶらしている途中で私は皆から離れて喫煙所に来ていた。
一人でしばらく一服していたのだが、そんな私のもとに夏油がやってきた。
「なに?五条とを二人きりにしてあげたの?」
冗談半分で聞いてみたのだが、夏油から「まぁ、そんなところ」と返答が来たことに驚いた。
自他共に認めるこのシスコンが溺愛している姉を自分の連れである五条とはいえ男と二人きりにさせるなんて。
もちろん夏油も五条がに思いを寄せていることは知っているはずだ。
「五条のことは応援してんの?」
「いや…悟ならいい、なんて私は思ったことないよ」
真顔できっぱりと否定した夏油に「あー、やっぱり?」と私は納得した。
「のことが好きなら無闇に傷つけないようには頑張ってほしいと思ってるよ。あの自信家の悟がに対しては挙動不審になるのを見てる分には面白いしね」
「わかる。ちょーウケるよね」
「私が応援してる…というより見守っているのは、のほうだよ」
「のほう?」
「がね、悟のこと異性として気になってるみたいだから」
「…マジ?」
「から直接気持ちを聞いたわけじゃないけど、なんとなく分かるよ。が悟を見る目は、他の奴を見る目とも、私を見る目とも違う」
「夏油がそう思うならそうなんだろうけど…が、あのクズをねぇ」