第2章 綻ぶ蕾
「えっと…メアドって…俺と?」
「うん…だめ…かな」
「…だめ…」
「え?!」
桐山の返答に、驚きと同時に泣きそうな顔で見上げる。
その瞬間、林田が吹き出して笑い始めた。
「桐山!メアド聞かれたくらいで、すげー動揺して…!」
次第にお腹を抱え、息苦しそうに笑い転げた。
「え?え?!」
の顔と、林田を交互に見てうろたえる桐山。
「気にすんな!こいつ、女の子にメアド聞かれて舞い上がってるだけだから」
「ま、舞い上がってなんか…!」
「あー?どの口が言ってんだー?」
「な、何するんですか」
反論する桐山の肩に、林田が腕を回す。
「聞かれた瞬間の浮ついた顔!俺は見逃さなかったぞ!」
「な!何!言ってるんですか!」
「青春だねぇー桐山きゅーん」
「やめてくださいよぉ」
じゃれる林田に、抵抗する桐山。
そんな二人を呆然と見ていただが、ふいに桐山の眼鏡が外れてしまった。
「あっ…」
思わず二人が同時に手を伸ばす。
しかし、桐山は体勢が悪くに向かって倒れ込む。
眼鏡は桐山が掴んだものの、体はの腕の中に収まってしまった。
お約束の通り、桐山の目の前には柔らかい感触。
「大丈夫?」
さほど気にする様子のないだが、桐山の顔はみるみる赤くなる。
「ご、ごめんなさい!」
「大丈夫ならよかった」
桐山は、照れ隠しに背中を向けて眼鏡をかける。
「それで…メアドは…」
「は、はい!何でもお教えいたします!」
「よかった」
「…、度胸据わってんな…」
の冷静な対応に、林田は思わず顎に手を当てた。