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【三月のライオン】瀬音

第5章 眠れる森の…


「桐山君…桐山君…」
耳元で囁く声で桐山は目を開けた。
「ん…」
ゆっくりと顔を上げると、ぼやけた視界が鮮明になる。
「さん…?」
瞬きをすると、至近距離でと目が合った。
「そばにいてくれたんだ。ありがとう」
が笑顔を見せると、桐山は跳ねるように椅子から立ち上がった。
「あ…」
するりと離れた手を追うように、が腕を伸ばす。
「え…あ…ごめん」
桐山はぬくもりの残る手を見つめると、背中に隠してしまう。
「手があったかいの、寝てても分かったよ」
立ち尽くす桐山に、笑顔を向ける。
「なんか…心配で…顔色悪かったし…」
「あはは。貧血でつい、ふらーっと」
へらりと笑いながら頬をかく。
「でも、元気そうでよかった」
目を細めて笑う桐山。
「それより、寝顔みられちゃったのは恥ずかしいかも」
照れ隠しに両手で顔を覆い隠す。
「えっと、別に、そんな見てないです!」
桐山は顔を赤くしてに背中を向ける。
「なんでそんなに赤くなって…って、何かいたずらしたの?!」
は布団から飛び出し、鏡の前に立つ。
「なんだ…びっくりした」
別段、変わった様子も無く安堵する。
「な、何もしてないよ…」
桐山はベッドの傍らにあった体操着の上着を、の肩にかける。
「冷えると良くないよ」
「ありがと」
鏡越しに笑い合う二人。
「もう大丈夫そう?もう少し寝てた方が…」
「大丈夫だよ。桐山君の顔みたら元気でた」
は振り返って笑顔を見せる。
「ありがとう…さん」
頬を染めつつ、桐山は笑って見せた。


~終わり~


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