第2章 綻ぶ蕾
翌日、昼休み。
はお弁当を片手に、屋上への扉を開けた。
地面に反射した太陽の眩しさに、思わず目を瞑る。
ゆっくりと目を開けると、フェンスの際に男の子が一人座っていた。
「あれ…林田先生は…?」
周囲を見回しても他に人は見当たらず、不満そうにため息をついた。
「…あれって、同じクラスの…」
覚えのある顔に、はゆっくりと近づいていく。
「桐山君…だよね?」
「え?あ、はい」
緊張からか、声が裏返る桐山。
「お昼、いつもここで食べてるの?」
「は、はい…」
今度は、肩をすくめて下を向いてしまった。
「話しかけちゃ、だめ…だった?」
「い、いえ!そんな…ことは…」
一瞬顔を上げたものの、すぐに下を向いてしまう。
そんな桐山をじっと見つめると、は隣に腰を下ろした。
「あ、あの…」
「林田先生に呼ばれたんだけど、まだ来てないみたいでさ」
お弁当を傍らに置くと、パックのジュースにストローをさす。
「呼んでおいて、いないってどういうことだよ!って」
頬を膨らませたかと思うと、笑顔を見せる。
そんなを思わず凝視する桐山。
「待ってる必要はないよね」
は膝の上でお弁当の包みをほどく。
蓋を開けた瞬間、林田が陽気に姿を見せた。
「いやーすまんすまん!お湯が沸いてなくてさー」
豪快に歩を進める林田の手にはカップメンが握られている。
「あれ?お前ら、仲良かったっけ?」
「い、いえ!」
即答する桐山に、思わず視線を向ける。
「の弁当美味そうだな…交換しない?」
「嫌ですよ」
差し出されたカップメンに怪訝な顔でが即答する。
「…本当だ…美味しそう…」
「…交換、しようか?」
桐山の呟きに、弁当を差し出す。
「何だよお前ら!仲良しじゃねーか!」
林田は涙目で空に叫んだ。